DCエミュ Flycastの導入と初期設定など
本来FlycastはReicastのLibretroコア用フォークという形でリリースされたものですが、当エントリーで紹介するのはそのスタンドアローン版を利用した場合の内容となります。
フォーク元であるReicastの更新が停止している(と思われる)現在では、更新頻度が高く本家に無い機能も追加されたこのFlycastの方が現実的な選択肢ではないかという事で導入と初期設定について書いてみたいと思います。
2021/10/03時点で最新の開発版 v1.1-209-gc1bcf91dでの設定内容になります。
公式の設定ガイド
正確には有志によって作成されたものですが公式のGitHubからもリンクされているこちらのガイドを参考にしました。
Flycast導入の事前準備
Flycastの導入にあたってハードウェア要件と起動に必要なファイルの確認です。
とは言ったものの具体的なドキュメントが見当たらないので詳細な環境などは出せませんが、とりあえずWindows10が動作している環境であれば基本的に問題は無いものと思われます。
Flycastの導入に必要なファイル
Flycastの起動にBIOSイメージは必須ではありませんが、あった方が互換性は向上するはずです。
- DreamcastのBIOSイメージ(dc_boot.bin)
NAOMI / Atomiswaveを利用する場合は以下のファイルが必須です。
- NAOMIのBIOSイメージ(naomi.zip)
- AtomiswaveのBIOSイメージ(awbios.zip)
Flycastの導入
それではFlycastのダウンロードから初回起動までの手順です。
Flycastのダウンロード
最新の安定版と開発版はGitHubからダウンロード出来ます。
こちらが安定版で
こちらが開発版です。
Flycastのインストール
ダウンロードしたファイルを任意の場所に展開すればOKです。
実機のBIOSイメージを使用する場合は data という名前のサブフォルダを作成し、その中にBIOSイメージを入れます。
任意のフォルダ
├ data
│ └ dc_boot.bin
└ flycast.exe
Flycast本体と同じ場所に置いてもBIOS画面は表示されましたが一応そこで。
Flycastの初回起動
flycast.exeを実行します。
Flycastの設定
Flycastを起動したら画面右上の Settings をクリックします。
General
全般設定です。
- Language
BIOS画面での使用言語を設定します。 - Bloadcast
変更しても視覚的な影響は無いらしいですが基本的にNTSCでOKです。 - Region
コンソールの地域なので日本に設定します。 - Cable
上の画像ではVGAになっていますが、先ほどのガイドによると互換性的にTVコンポジットがオススメだそうです。 - Content Location
Add からイメージファイルが保存してあるフォルダを設定します。 - Home Directory
システムフォルダです、デフォルトではFlycast本体と同じ場所なのでポータブル状態になります。 - Hide Legacy Naomi Roms
レガシーなNaomiのロムを非表示にします。 - Automatic State
Load:ゲーム開始時に自動で最後に保存したステートをロード。
Save:ゲーム停止時に自動でステートをセーブ。
Controls
コントローラーに関する設定です。
Physical Devicesの下に利用可能なデバイスが表示されているはずなので、設定したいコントローラーの右側にある Map をクリックします。
設定したいボタンの Map をクリックしてからキーボードやゲームパッドのボタンを押して設定します。設定内容を消去したい場合は Unmap をクリックで。ひと通り設定が済んだら画面左上の Done をクリックして戻ります。
Video
画面表示に関する設定です。
Transparent Sorting
- Per Triangle
基本的にデフォルトのこれでOKです。 - Per Strip
何か問題がある場合にこれにしてみるとか。 - Per Pixel
最も正確だが最も遅いオプション、初回起動時は一旦DirectX以外に変更しないと表示されないっぽい?
グラフィックが崩れる場合は Per Pixel にすると改善される例があるようです。基本的にこの手の設定は軽さと正確さがトレードオフなので特に重さを感じないスペックなら常時その設定でもOKかも?
Rendering Options
- Automatic Frame Skipping
自動フレームスキップ。 - Shadows
シャドウ効果の有効化。 - Fog
フォグ効果の有効化。 - Widescreen
ワイドスクリーンの有効化。 - Super Widescreen
アスペクト比が16:9より大きい場合にワイドスクリーンハックが全幅でレンダリングされるようになります。 - Widescreen Game Cheats
ゲーム固有のワイドスクリーンチートコードを使用して画面を自動的に拡大します。 - VSync
ゲームのフレームレートを画面のリフレッシュレートと同期。 - Show FPS Counter
FPSカウンターの表示。 - Show VMU In-game
ゲーム中のビジュアルメモリを表示。 - Rotate Screen 90
画面を90度回転。 - Delay Frame Swapping
遅延フレームスワッピング…よくわからんのでとりあえずデフォルトで。 - Graphics API
デフォルトではDirectXになっていますがあえて今それを選ぶ理由は見当たらない気もするので、とりあえずVulkanにしておいて何か問題があればOpenGLでいいのではないかと。 - Internal Resolution
内部解像度です、とりあえず私は1280×960でいいかしらみたいな。 - Horizontal Stretching
水平方向のストレッチ。 - Frame Skipping
フレームスキップ。
Renderer to Texture
- Copy to VRAM
速度と引き換えに正確さがアップする的な感じ?
Texture Upscaling
- Texture Upscaling
テクスチャアップスケーリング、xBRZなのでクッキリハッキリが好きな人は上げない方がいいかも。 - Texture Max Size
テクスチャの最大サイズ。 - Max Threads
最大スレッド数、物理コア数-1がオススメのようです。 - Load Custom Textures
カスタムテクスチャーの読み込み。
Audio
音声に関する設定です。DSPだけ好みでそれ以外はデフォルトでいいでしょう。
- Enable DSP
DSPの有効化、PCのスペックによってはパフォーマンスが落ちるかも? - Volume Level
音量レベル。 - Latency
レイテンシー。 - Audio Driver
オーディオドライバ。
Advanced
拡張設定です。ここもネットワーク対戦がしたいとか以外ほぼイジる必要無しかと。
CPU Mode
基本的にDynarecでOKですが何か問題があった場合にInterpreterにしてみると速度は遅くなるかわりに動作が改善する場合があるかも?という感じでしょうか。
Dynarec Options
- Idle Skip
CPUのアイドル状態をエミュレーションせずスキップすることで動作速度を向上させる的な。
Network
- Broadband Adapter Emulation
ブロードバンドアダプタエミュレーション。 - Enable GGPO Networking
GGPOネットワーキングの有効化。 - Enable Naomi Networking
Naomiネットワーキングの有効化。
Other
- HLE BIOS
強制的に内蔵のHLE BIOSを使用。 - Force Windows CE
強制的にWindows CEモードにする。 - Multi-threaded emulation
マルチスレッドエミュレーション。 - Serial Console
シリアルコンソール。 - Dump Textures
テクスチャをダンプ。 - Log to File
ログをファイルに出力。
上記以外の設定や操作など
これ以外の画面から設定する項目とわかりにくい操作について補足など。
ウィンドウサイズの変更
Home Directoryの場所に保存された emu.cfg を直接テキストエディタで編集して設定します。
[window]
fullscreen = no
height = 960
maximized = no
width = 1280
- fullscreen
yesでフルスクリーンモード。 - height
画面の高さを設定。 - maximized
yesでウィンドウ最大化。 - width
画面の幅を設定。
通常は4:3、ワイドスクリーン化する場合は16:9になるよう値を調整しましょう。
ゲーム起動後のメニュー画面
ゲーム起動後は Tab キー、またはコントローラーの Menu に設定したボタンで以下のようなメニュー画面を開く事が出来ます。
- Load State
選択中のスロットからステートをロード。 - Slot
スロットの選択。 - Save State
選択中のスロットにステートをセーブ。 - Settings
設定画面を開く。 - Resume
ゲームに戻る。 - Eject Disk
ディスクの取り出し。 - Cheats
チート画面を開く。 - Exit
ゲームを終了してゲームリスト画面へ。
BIOS画面の起動
Dreamcast実機のBIOSイメージを使用している場合は Dreamcast BIOS からBIOS画面を起動する事が出来ます。
この時にBIOSイメージが正しく設定されていれば以下の左の画面が、実機のBIOSイメージを使用していないかパスが間違っている場合は右のようなダイアログが表示されます。
Flycastの導入完了!
基本的な部分はほぼReicastなので最新かそれに近い開発版をお持ちの場合やネットプレイ機能とリプレイに重点を置いたFlycast Dojoというフォークにも当エントリーの内容がほぼ当てはまるかと思いますので、そちらを導入する際にもお役に立てば幸いです。
その他のエミュレータの導入と初期設定についてのページはこちらにリンクをまとめてありますのでよろしければご利用ください。